nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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社会保険庁廃止の要因(2)-国民年金不正免除
2006年3月頃から、国民年金保険料の免除承認等に関する手続きについて、本人からの申請がないにもかかわらず、社会保険事務所が承認手続きを行ったという国民年金法等に違反する行為が発覚した。不正免除は、全国で31社会保険事務局(全国47事務局)、116社会保険事務所(全国312事務所)で行われ、不正免除件数は222,587件に上り、その大半は本人の意思確認をしていなかった。同年8月に、不正免除に関与した職員及びその監督者である職員1,752人の処分が行われたが、その数は全職員の約1割弱であり、かつ幹部職員が多かった。社会保険庁が2006年8月に公表した資料の中から法令違反が行われた経緯や背景などをまとめました。


1.不正免除の経緯
(1)京都社会保険事務局のケース
2006年2月10日、本庁のリストに免除の取消数値が異常に増加するという異常値が見られ、事務局内の社会保険事務所で、本人からの申請がないままに免除等の手続きを行っていたことが判明した。同年3月13日、国民年金事業室が、全社会保険事務局長に照会したところ、同様のケースはないとの報告を受けた。

(2)大阪社会保険事務局のケース
2006年4月27日、事務局長あてに不正免除に関する投書があった。同年5月15日、報道機関より取材申し込みを受け調査した結果、京都と同じケースがあることが判明し、5月17日に本庁に報告した。5月18日、国民年金事業室が、全社会保険事務局長に照会したところ、東京、長崎で同様のケースがあることが判明した。5月19日、国民年金事業室は全社会保険事務局長に書類の提出を要請し、5月24日に大阪事務局長を更迭した。

(3)三重社会保険事務局のケース
2006年5月24日、国民年金事業室が全社会保険事務局長に対して電話で照会したところ、三重で同様のケースがあることが判明した。同年5月26日に三重事務局長を更迭した。

(4)全国社会保険事務局長会議
2006年5月27日、厚生労働大臣が、全国社会保険事務局長会議を緊急開催したところ、100事務所で113,975件の不正免除が判明した。

(5)再度の確認書の提出
2006年6月8日、全国の社会保険事務局長・社会保険事務所長から再度の確認書を提出させたところ、29事務局110事務所で193,136件の不正免除が判明した。

(5)全件調査
2006年7月6日、 全事務局に本庁職員249名を派遣して調査したところ、31事務局116事務所で222,587件の不正免除が判明した。法令違反の内訳は、(1) 国民年金法違反(申請意思を確認していない)が、24事務局66事務所で189,492件(85.1%)(2) 同法施行規則違反(電話等により意思確認し、職員が申請書を代筆しているが、署名又は記名押印がない)が、33,095件(14.9%)であった。

2.法令等の規定
(1)国民年金法
「第90条第1項等」により、免除等は被保険者等の申請による。

(2)国民年金法施行規則
「第77条第1項等」により、免除等は、申請書を社会保険事務所長あて(申請の受理は市町村長)に提出する。

(3)通達
「申請全額免除等に係る簡素化の取り扱いについて(通知)-平成17年7月1日付け庁保険発第0701001号社会保険庁運営部年金保険課長通知」により、申請書の様式中に署名、または記名押印する。

3.不正免除の動機と背景
(1)所得情報の入手と免除・猶予対策の重視
2004年に国民年金法の改正があり、2005年度以降、市町村から所得情報を入手し免除・猶予の該当者を把握できるようになった。2005年7月より継続制度が導入され、本庁から収納率に関して、2006年度以降の納付対策を強制徴収等の「分子対策」に集中するためにも、2005年度にできるかぎり該当者からの免除申請を獲得するなど、「分母対策(納付対象月対策)」が重要であるとの指示が出された。

(2)免除・猶予該当者への接触・面会が困難
戸別訪問しても不在だったり、文書を何度送っても反応がない等接触が困難なケースが多かった。

(3)長官メッセージ及び必達納付率目標
2005年11月8日の村瀬長官の緊急メッセージに基づき、同年末までの各事務所ごとの必達納付率目標が各事務所の確認を経て設定された。全国で2%の納付率向上の目的に対し事務所長や事務所の担当課長が重圧を感じていたケースがあった。

(4)安易な方策への帰着
安易に目標を達成する方法として、不正免除が発案され実施された。
(1) 先行入力方式 ― 本人の意思を確認する前に入力 。
(2) 申請意思の推定方式 ― 期日までに意思表示がない場合は申請の意思があるとみなして手続きを行う。
(3) 電話による意思確認方式 ― 本人の意思を電話で確認し、了解を得て手続きを行う。

(5)違法性に関する認識
(1) 先行入力方式 ― 入力後に申請書を受理すれば問題なく、受理できなければ取り消せばよいので違法ではない。
(2) 申請意思の推定方式 ― 違法又は不適正との認識が多かったが、納付率を上げたり、年金権を確保するためにはやむを得ない。違法性の認識があり、上位機関にあえて照会しなかった。
(3) 電話による意思確認方式 ― 本人の意思確認をしているので違法ではない。事務局職員が適法であると認識し、事務所に対して実施を指示したケースもあった。

4.不正免除の計画と実行
(1)組織的な決定による実行
事務所主導のケースでは、多くが会議での決定や事務所長の了承により組織的に行われた。事務局主導のケースでは、会議結果により指示が出され組織的に行われた。

(2)不正免除の様々なケース
不正免除は全国で実施されたが、各地域が独自に発案しており内容は様々であった。また、職員の個人的な情報交換を通じて広まったものもあった。

(3)本庁の関与
本庁が組織的に主導した事実はないが、本庁職員の軽率かつ不適切な対応があり、組織的に明確な対応を行っていなかった。


参考資料
国民年金保険料の免除等に係る事務処理に関する調査結果等について

関連エントリー
社会保険庁廃止の要因(1)-カワグチ技研収賄事件
社会保険庁廃止の要因(3)-組織体質
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社会保険庁

社会保険庁社会保険庁(しゃかいほけんちょう、Social Insurance Agency)は、厚生労働省の外局。政府が管掌する健康保険事業、船員保険事業、厚生年金保険事業、国民年金事業等の運営を任務とする行政機関。長は社会保険庁長官。地方支分部局として都道 ちひろの部屋【2007/07/07 02:59】

プロフィール

赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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