| 日本経済の進路と戦略 〜新たな「創造と成長」への道筋〜(2) |
経済財政運営の中期方針「日本経済の進路と戦略〜新たな創造と成長への道筋〜(原案)」では、新成長経済の内容を1.成長力の強化、2.再チャレンジ可能な社会、3.健全で安心できる社会、4.21世紀にふさわしい行財政システムで構成しています。 第31回(2006年12月26日)会議において提出された資料(案)にリンク先を変更し、内容を若干修正しています。なお、「日本経済の進路と戦略」は、2007(平成19)年1月25日閣議決定しました。 労働政策の「再チャレンジ可能な社会」と社会保障政策の「健全で安心できる社会」を中心にまとめました。
2.目指す経済社会の姿 ―「新成長経済」による活力あふれる社会
(1)成長力の強化 1.成長の加速 人口が減少する中で、日本経済が安定的な成長を続けていくには、経済全体として生産性を大幅に上昇させなければならない。
2.イノベーションの力で生産性を引き上げる イノベーションが生まれやすい経済社会を目指し、経済全体の生産性を引き上げるためには、労働市場と消費市場にまたがる全般的な改革が必要である。 労働市場においては、新たな技術に対応した人材の育成や技能の強化を図り、より生産性の高い分野への労働移動を容易にする必要がある。消費市場においては、サービス産業を中心にIT革新による恩恵を十分活用することを妨げている規制や慣行を排除するとともに、いわゆる官製市場の分野を始めとする規制改革などにより新規参入等を促していくことが重要である。
3.オープンな経済システムの構築 WTO等の多国間交渉において主導権を発揮し、WTOドーハ・ラウンド交渉の早期妥結を目指す。 EPA(経済連携協定)については、国内農林水産業への影響を十分踏まえ、その体質強化の進捗に留意しつつ、取り組みを強化する。対日直接投資残高を国際的に遜色ない水準に引き上げることを念頭に置き、まずは2010年(平成22年)にGDP比で倍増(5%程度)させ、、内外の人、物、資金、文化、情報の集積を図る。
4.個性と活力にあふれる地域社会の構築 地方分権と地方行財政改革を更に進めるとともに、地域の産業を振興し、個性と活力にあふれる地域社会の構築を目指す。あわせて、広域経済圏の形成を進め、道州制の検討を本格化させていく必要がある。 また、NPO、公益法人、社会的起業家、自治会などの「公」の担い手の活動やネットワーク化を促進する環境整備を進めることにより、民間主導で地方を再生し、「豊かな公」を形成していくことが重要である。
(2)再チャレンジ可能な社会 1.働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化した社会人生の各段階における働き方、学び方、暮らし方について、多様な選択肢が用意され、複線型の人生選択が可能となる経済社会を目指す。あわせて、国民一人一人がその能力や持ち味を十分発揮し、努力が報われる公正な社会を目指す。 勝ち組、負け組が固定せず、たとえ就職や事業に失敗しても、意欲と能力に応じて再チャレンジできるようにする。
2.誰もが意欲と能力に応じ働くことのできる社会 働く意欲と能力を持つ高齢者が、年齢にかかわらず働くことができ、その機会が得られる社会を目指す。高齢者も多様な形で就労でき、70歳現役が可能な社会を構築する。 性別にかかわらず、仕事と生活の調和が可能な働き方ができる社会を目指す。女性にとっても働きやすい環境整備を一層進める。 ニートやフリーターが円滑に就労できる仕組みを構築し、2010年(平成22年)までにフリーターをピーク時の8割の水準まで減少させることを目指す。 障害者については、福祉的就労から一般雇用への移行を促進する。 高齢者、女性、若者、障害者の就業率を向上させ、個々人のより豊かな生活の実現だけではなく、社会保障の支え手の増加にもつなげる。
3.新たなチャレンジへの支援 新たな事業等への挑戦がより活発に行われる経済社会を目指す。我が国の開業率(開業企業数/総企業数)は、国際的に見て低い水準にあり、特に1990年代以降は3%台で低迷している。これを欧米並みの10%程度を念頭に置き、着実に引き上げていく。 また、多重債務の防止・救済、再起業や事業再生への取組を支援することで、一度失敗してもそこからの脱却を容易にする。
(3)健全で安心できる社会 1.持続可能で信頼できる社会保障制度の構築 社会保障は、人生のリスクに対するセーフティネットである。自立の精神を大切にしつつ、分かりやすく親切で信頼でき、かつ持続可能な制度を構築するためには、受益と負担のバランスを常に点検し、その両面から見直しを図るとともに、経済・財政とバランスのとれたものとすることが必要である。 このため、自助・共助・公助の適切な役割分担の下、世代間の公平を図るとともに、サービスの質の維持向上を図りつつ、効率化等により供給コストを低減させていく。
2.子育てフレンドリーな社会と教育の再生 子育ての素晴らしさ、家族の価値が社会全体に共有される中で、子どもを安心して生み、育てやすい環境が整備され、子育てと仕事が両立できる社会、すなわち「子育てフレンドリーな社会」を構築する。国の基本政策として、出生率の低下傾向の反転に向け、地方・企業等と一体となって少子化対策を強力かつ効果的に推進し、子育て家庭を社会全体で支援する。 国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むため、食育を国民運動として推進する。 また、「美しい国」を実現する上で、教育はその重要な基礎をなすものである。新しい教育基本法の理念を踏まえ、家族、地域、国そして命を大切にする、豊かな人間性と創造性を備えた規律ある人間の育成に向け、教育再生に取り組む。
3.世界の模範となる安全・安心な社会 世界の模範となる安全・安心な国づくりを目指す。国民の安全と安心の確保は政府の基本的な責務であるとともに、安定した経済成長の基盤でもある。 脱温暖化社会づくり、循環型社会の構築など環境問題への積極的な取組を進め、持続可能な社会の実現を図る。
4.規律が機能する社会 健全な市場社会の規律が働き、各経済主体がルールに従って公正に競争することについて、経済主体間の信頼関係が確立されてこそ、活発な経済活動が可能となる。また、努力が正当に報われてこそ、活力ある社会がつくられる。このような社会のベースとして、透明で規律の高い公正な市場を確立する。そのために、「規制から規律へ」の観点に立って官主導の規制社会から脱却する。
(4)21世紀にふさわしい行財政システム 1.時代に対応した行財政と政府の大きさ 21世紀にふさわしい行財政システムの構築を目指し、行政機構の在り方、予算制度の在り方、税制の在り方等を包括的に見直す。 また、政府の大きさについては、「例えば潜在的国民負担率で見て、その目途を50%程度としつつ、政府の規模の上昇を抑制する」こととされており、「進路と戦略」の期間中は、その上昇をできる限り抑制する。
2.地方分権と地方行財政改革 真の地方分権を実現し、受益と負担を勘案して自らの判断と責任で行政サービスを選択する仕組みを構築する。このため、地方分権改革を強力に推進するとともに、権限・財政両面で地方の自立を進める。
3.財政健全化 「基本方針2006」に沿って、歳出・歳入一体改革を着実に推進し、まずは2011年度(平成23年度)には国・地方を合わせた基礎的財政収支を確実に黒字化させる。また、2010年代半ばに向け、債務残高GDP比の発散を止め、安定的に引き下げることを確保する。
参考資料 日本経済の進路と戦略
関連エントリー 日本経済の進路と戦略 〜新たな「創造と成長」への道筋〜(1) 日本経済の進路と戦略 〜新たな「創造と成長」への道筋〜(3)
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