nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2007(平成19)年度予算編成 の社会保障費(1)-雇用保険・生活保護
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)が、2007(平成19)年度予算編成に関する建議を公表しました。
社会保障分野では、社会保障制度及びそれを支える財政の双方の持続可能性を確保する観点から、制度の聖域なく不断の見直しを行う必要があり、特に、将来世代の負担増の抑制や世代間の公平の確保を図るため、給付の抑制に加え、負担の先送りを早急に止める必要があるとしています。具体的には、雇用保険の国庫負担廃止、生活保護の生活扶助基準の水準・加算の見直し、医療のサービス提供コストの縮減、公的保険の範囲の見直し、負担能力に応じた公平な負担、児童手当は慎重に検討などです。
厚生労働省と財務省は、失業給付費の国庫負担の半減を軸に調整を進めていますが、半減すれば国庫負担額は約3600億円から約1800億円となります。(参照
生活保護費については、400億円削減する方針。母子加算を3年で段階的に廃止、新たに就労しながら生活保護を受け、18歳以下の子どもを養育している1人親世帯に一律月額1万円を支給する「ひとり親世帯就労促進費」(仮称)を創設し、2007(平成19)年度から適用します。また、職業訓練や自立支援プログラムに参加する世帯にも一律月額5千円を支給し、自立を促します。(参照)リバースモーゲージ制度導入、障害者医療費を国庫負担の少ない障害者自立支援法による自立支援医療から支給等。
今年度中に全自治体が策定する自立支援プログラムで保護対象から外れる世帯が増え、削減効果が出ることも見込んでいます。

雇用保険の国庫負担と生活保護費についてまとめました。

1.雇用保険
(1)国庫負担
雇用保険については、雇用情勢が極端に悪化した場合に、必要な保険給付を確保する必要がある一方で、我が国財政の極めて厳しい状況や現在の雇用保険財政の状況に照らせば、保険給付に係る国庫負担については、廃止を念頭に抜本的な改革を行う。

(2)雇用保険三事業
雇用保険三事業については、失業と雇用の安定等の観点から実施されるものであり、雇用福祉事業の廃止を含め、個々の事業の在り方について抜本的な見直しを行う。

2.生活保護
(1)生活扶助基準の水準
モラルハザードの防止、一般低所得世帯や年金生活者との公平性等を踏まえて必要な見直しを行う。一般低所得世帯の消費水準との比較を行う場合、被保護世帯の消費可能額という観点から、勤労控除等も含めて考える。

(2)生活保護基準の設定及び算定方法
世帯人員別に見ると特に多人数世帯の生活扶助基準が割高となっており、更なる見直しを行う。

(3)生活扶助基準の改定方式
基準額については、一般低所得世帯の消費実態との比較・検証を定期的に行い見直す。例えば、消費者物価指数の伸びを改定の指標として用いる事も考えられる。

(4)各種加算
母子加算については、就労支援策を講じつつ、廃止すべきである。児童養育加算については、廃止を含む見直しをする。その他、加算全般にわたり、その必要性・合理性について、ゼロベースで検証を行い、抜本的な見直しを行う。

(5)級地
級地間格差(最大22.5%)が大き過ぎるため級地間格差を見直しを行うが、一般世帯の平均の消費水準の違いによる見直しのみでは一般世帯の実所得の地域差まで反映されることになる。問題を解消できるような設定方法を検討する必要があり、加えて級地制度全般の見直しにも取り組む。

(6)資産・能力の活用
リバースモーゲージ(所有不動産を担保として生活資金を貸し付け、借受人の死亡時に担保物件を処分して元利金を一括返済するしくみ)を活用した貸付けを保護に先立って優先的に適用する。また、稼動能力を適正に判定するためのしくみを検討し、保護開始後も稼動能力や収入の状況等の評価・確認を随時行う。

(7)保護からの早期脱却の促進
保護からの早期脱却のためには、早期の段階から自立・就労に向けた効果的な支援プログラムを適用していく必要があるが、被保護者の取組状況が十分とは言えない場合は保護の停止又は廃止を行うことをルール化する。

(8)医療扶助の見直し
医療扶助は生活保護費の半分以上(約52%)を占めているため、その適正化は重要な課題である。生活保護と国民健康保険の医療費を比較・分析すると、前者は入院・外来ともに1件あたりの日数が長くなっている。

(1) 社会的入院の解消等入院医療費の適正化
医療の必要性が必ずしも高くない長期入院患者(社会的入院者)の退院・地域移行を促進する。特に、精神科入院については、多くの社会的入院患者の存在が指摘されており、障害者福祉政策を適切に進めていく。

(2) 頻回受診の是正等外来医療費の適正化
頻回受診の是正に向け、福祉事務所等における適切な対応はもとより、受診に際し、何らかのコスト意識を実感するようなしくみを導入する。


参考資料
平成19年度予算の編成等に関する建議(2006年11月22日)

関連エントリー
2007(平成19)年度予算編成の社会保障費(2)-医療・介護・年金・児童手当
「骨太の方針2006」を読む(2)-社会保障費の歳出・歳入一体改革
2006年版厚生労働白書を読む(4)-生活保護制度改革
新たなセーフティネット(生活保護制度)の提案

参考エントリー
雇用保険の国庫負担(EU労働法政策雑記帳)
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テーマ:政策 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント
メールをいただいた「とんきょ」様へ
メールで下記の質問が届きましたので、コメント欄にてお答えします。朝日新聞記事では、「生活保護を受けている障害者の医療費について、国庫負担の少ない障害者自立支援法による自立支援医療からの支給を優先させることで、国費を軽減することも検討。」となっていて厚生労働省による公式発表はされていませんので、あくまでも私が理解している知識に基づいた回答ですのでご了承下さい。

Q 生活保護による医療費削減策の一環として、「障害者医療費を国庫負担の少ない障害者自立支援法による自立支援医療から支給」ということが言われていますが、内容がいまいち理解できません。どういうことをさすのでしょうか?

A 生活保護の被保護者は、国民健康法の被保険者から除外されており、医療費の全額を医療扶助で負担(負担割合は国が4分の3、地方が4分の1)しています。
被保護者の中の障害者を生活保護の医療扶助から障害者自立支援法の自立支援医療に切り替えると、こちらは市町村の負担割合が10分の9、残りの10分の1が自己負担になるので、国の負担額は10分の1になります。
背景には、医療扶助が生活保護費の半分以上(約52%)を占めており、生活保護の医療費と国民健康保険の医療費とを比較・分析した場合に、前者が入院、外来ともに1件当たりの日数が長く、社会的入院や頻回受診の問題があると考えられるため、生活保護の医療費の適正化を図りたいのではないかと思います。
【2006/12/16 15:58】 URL | nami(管理人) #- [ 編集]

メールをいただいた「とんきょ」様へ
再度「とんきょ」さんから質問メールが来ましたのでコメント欄でお答えします。生活保護関係、自立支援医療関係の資料を調べたのですが、記事の趣旨を示す具体的な情報は見つかりませんでした。
ですから、私としては、1の生活保護の適正化の観点から、国が保護の実施機関に他法優先を徹底するように念押しするという意味合いしか考えられません。
この件に関しては、追加情報待ちということにしたいと思います。

以下はメールより抜粋
生活保護受給者のうち、自立支援医療の適用が可能な方につきましては、現制度においても、生活保護の「他法優先の原理」に基づき、自立支援医療費からの給付が優先されます。おそらく全国の福祉事務所はそういう方向で生活保護行政を展開しているのではないかと思います。
したがいまして、ことさら「障害者自立支援法による自立支援医療から支給を優先させる」という記事の意味が理解できないのです。
そこで、私が考えましたのは、この記事の趣旨は、
1.生活保護の適正化の観点から、国が保護の実施機関に他法優先を徹底するように念押しするという意味合いなのか?
2.例えば、現在、自立支援医療(更生医療)から除外されている生活保護受給者に対する人工透析医療(現在は、生活保護の医療扶助として支給)を、自立支援医療に含めるといったマイナーな変更策を指すのか? 
3.あるいは、障害者である生活保護受給者については、疾病種別に関係なく原則的に自立支援医療の対象(⇔医療扶助を適用しない)にするといった、障害者自立支援法・生活保護法の両法に関する大幅な制度の変更策を意味しているのか?
【2006/12/18 17:59】 URL | nami(管理人) #- [ 編集]


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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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