nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版厚生労働白書を読む(4)-生活保護制度改革
2006(平成18)年版厚生労働白書の中から、「第2部第6章第3節 社会的な支援を要する様々な人たちへの支援と福祉サービスの提供のための基盤の整備」と「生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書(2004年12月)」を中心に生活保護制度改革の課題をまとめました。
生活保護は、利用し得る資産、稼働能力、他法他施策などを活用してもなお最低限度の生活を維持できない者に対し、その困窮の程度に応じて保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立の助長を目的とする制度である。
生活保護を国民の生活困窮の実態を受けとめ、その最低生活保障を行うだけでなく、生活困窮者の自立・就労を支援する観点から見直すために、2005年度からは、自立支援プログラムを導入し、個々の生活保護受給者に必要な支援を組織的に実施している。
生活保護と最低賃金との整合性に関しては、地域別最低賃金の決定基準において生活保護との整合性も考慮するとしています。


1.生活保護の動向
長引く経済雇用情勢の低迷などの影響を受けて、1995年度を底として、生活保護受給者数、生活保護受給率ともに増加を続けているが、近年その増加の伸び率は低下しつつある。
2004年度は、生活保護受給者数が約142万人、人口千人当たりの生活保護受給者数が11.1人、生活保護受給世帯数は約100万世帯となっている。
また、保護受給期間が10年を超える世帯が10%を超え、受給期間が長くなるほど保護廃止率が低下するなど、保護受給期間が長期にわたり、自立が困難となっている世帯が少なくない。
他方、地方自治体における生活保護担当職員の不足数が近年大幅に増加している、査察指導員(現業員を指導監督)のうち現業員(被保護世帯への各種調査や自立支援等を行う)経験がない者が4分の1以上を占めるなど、職員の量的確保や質的充足の面において、地方自治体の実施体制上の問題も見られる。

最新資料  2005(平成17)年度生活保護の動向
2005年度は、生活保護受給者数が約148万人、生活保護受給世帯数は約104万世帯となっている。

2.生活保護基準
(1)生活扶助
生活扶助基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に見極めるため、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う。
また、設定及び算定方法が、世帯人員別にみると必ずしも一般低所得世帯の消費実態を反映したものとなっていない。

(2)母子加算
母子加算については、ひとり親世帯の親の就労に伴う追加的な消費需要に配慮するとともに、世帯の自立に向けた給付に転換する。
最新資料 ひとり親世帯就労促進費(仮称)の創設【2007(平成19)年度】
母子加算を廃止し、就労しながら生活保護を受け、18歳以下の子どもを養育している1人親世帯に一律月額1万円を支給する。職業訓練や自立支援プログラムに参加する世帯にも一律月額5千円を支給する。(参照

(3)級地
現行級地制度については昭和62年度から最大格差22.5%、6区分制とされているが、現在の一般世帯の生活扶助相当消費支出額をみると、地域差が縮小する傾向が認められる。

最新資料  最低賃金制度(2007年国会提出案)  生活保護と最低賃金
※地域別最低賃金の在り方
国内の各地域ごとに、すべての労働者に適用される地域別最低賃金を決定しなければならないものとする。
決定基準については、「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力」に改め、「地域における労働者の生計費」については、生活保護との整合性も考慮する必要がある。

3.自立支援
(1)自立支援プログラム
生活保護制度を「最後のセーフティネット」として適切なものとするために必要な対応。
・多様な対応
被保護世帯が抱える様々な問題に的確に対処し解決する
・早期の対応
保護の長期化を防ぎ、被保護世帯の自立を容易にする
・システム的な対応
担当職員個人の経験や努力に依存せず、効率的で一貫した組織的取組を推進する

(1) 自立支援プログラムの策定
地方自治体が、地域の被保護世帯の抱える問題を把握した上で、自主性・独自性を生かして重層的かつ多様な支援メニューを整備し、被保護世帯の問題に応じた自立支援プログラムを策定する。
(2) プログラムに沿った支援
被保護者は、生活保護法に定める勤労・生活向上等の努力義務を実現する手段の一つとして、稼働能力を始めとする各被保護者の状況に応じたプログラムに参加するとともに、地方自治体はプログラムに沿った支援を実施する。
(3) プログラムの見直し
地方自治体は被保護者の取組状況を定期的に評価し、必要に応じて被保護者が参加すべきプログラムや支援内容の見直しを行う。

(2)自立支援推進体制
(1) 地方自治体の役割
地方自治体は、自立支援プログラムの策定・実施に当たり、個別の自立支援メニューを所管する他の部局との調整をし、ハローワーク、保健所、医療機関等の関係機関との連携を深めるとともに、(1)就労支援、カウンセリング、多重債務問題、日常生活支援等に関する経験や専門知識を有する人材の活用、(2)社会福祉法人、民間事業者等や、民生委員、社会福祉協議会等との協力強化及びアウトソーシングの推進、(3)救護施設等の社会福祉施設との連携等、地域の様々な社会資源を活用することにより、その独自性を生かした実施体制を構築することが必要である。
(2) 国の役割
国は、労働行政や、保育・母子福祉施策等他の社会福祉行政・低所得者対策との連携の強化を図りつつ、地方自治体が関連施策を自立支援プログラムとして十分活用できるよう努める必要がある。特に、就労支援に関し、ハローワークが福祉事務所からの要請に基づき体系的に就労支援を実施する。
(3) 教育支援
高校進学率の一般的な高まり、「貧困の再生産」の防止の観点から見れば、子供を自立・就労させていくためには高校就学が有効な手段となっており、高等学校への就学費用について、生活保護において対応する。

4.資産、能力の活用
(1)稼働能力の活用
稼働能力の活用状況については、年齢等に加え、本人の資格・技術、職歴、就労阻害要因、精神状態等に関する医師の判断等と、これを踏まえた本人の就職活動の状況や地域の求人状況等の把握による総合的評価が必要であり、その客観的評価のための指針を策定することが必要である。また、保護の開始後においては、自立支援プログラムへの参加状況等に基づいて「稼働能力の活用」要件を満たしているかどうかについて随時評価することが必要である。

(2)資産の活用
居住用不動産を保有する生活困窮者に対しては、居住用不動産を担保とした生活資金(長期生活支援資金)の貸付制度が平成14年から整備されているところであるので、その積極的な活用を推進すべきである。
最新資料 【2007(平成19)年度新規事業】(参照
要保護世帯向け長期生活支援資金貸付制度(リバースモーゲージ)
一定の居住用不動産を所有する高齢者世帯(既に保護を受給している世帯を含む。)であって、本貸付制度を利用することにより生活保護制度の適用に至らない世帯の者(要保護者)に対し、当該不動産を担保に生活資金の貸付を行う。
本貸付制度は、要保護者がその所有する不動産に住み続けながら、これを担保に生活資金の貸付を要保護者に行い、当該要保護者の死亡後に、担保に供していた不動産を処分することにより債権の回収を行うものである。
なお、要保護者に対し貸付限度額まで貸付を行った上でなお、当該要保護者が生活に困窮している場合には、速やかに生活保護制度を適用することとしている。
これによって、居住用不動産の活用を徹底させるとともに、扶養義務を果たさない者に対する不動産相続を防止し、社会的不公平を是正することができる。
制度の運営は、都道府県社会福祉協議会行う。


参考資料
平成18年版 厚生労働白書
生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書(平成16年12月15日)
厚生労働省 新規事業に関する事業評価書

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Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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