nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版経済財政白書を読む(3)-職業教育訓練の課題
2006年版(平成18年版)経済財政白書の「第3章第2節 職業能力の取得という観点から見た人間力強化に向けた課題」を中心にまとめました。
職業能力取得の観点からの人間力強化においては、就労前の学校教育や就労後の職業教育訓練の役割は重要である。企業がリストラを進める中、企業の職業教育訓練に対する役割は変化し、個人の役割が高まる傾向がある。就労前の学校教育段階では、従来の役割に加え、仕事に関する実践的な専門的知識や技能を取得することができるような多様な教育サービスの提供が求められる。また、就労後の職業教育訓練機会を整備することが重要である。

第2節 職業能力の取得という観点から見た人間力強化に向けた課題

1 職業能力取得という観点から見た人間力強化
内閣府の「仕事と教育に関する調査」の結果を最終学歴別にみると、働く上で必要な専門的知識や専門的技能は「仕事における実務中」に取得したとする回答が最も多い。
また、「大学等における教育」や「大学院等における教育」等の就労前の学校教育、「上司、先輩によるOJT」や「企業内における集合研修」等の就労後の職場が主体となって行う職業教育訓練や、就労後の自発的な「独学」によって職業能力を取得したという回答も多い。

2 学校教育の現状
我が国における大学などを含む高等教育機関全体の進学率は約75%にも達しており、4人のうち3人はなんらかの高等教育を受ける時代となった。大学院への進学率についても近年上昇傾向にある。
我が国における教育費用負担の特徴として高等教育における私費負担が、OECD諸国平均を約37%上回っており、国際的にみて極めて高くなっている。
個人の立場からみると、高い費用負担を行った場合でもそれに見合うだけの賃金が得られるということは大学進学のひとつのメリットであるが、大学教育の投資収益率は低下傾向にある。

3 企業における職業教育訓練の現状
厚生労働省「能力開発基本調査」の調査によると、能力開発の責任主体としては企業であるとする回答の割合が高い。
過去と比較すると、企業の責任であるという回答は縮小傾向にあり、今後の方向性についても企業の責任が低下し、従業員個人の責任が高まるであろうという結果になっている。
このように企業における職業教育訓練の役割低下の背景として、バブル崩壊後90年代を通じてコスト削減圧力にさらされた結果、教育訓練費が抑制されてきたこと、終身的雇用や年功的賃金などの変容や教育コストがかからない即戦力重視の中途採用活発化、非正規雇用の増加など企業の人的資源管理に大きな変化が起きていることなどが挙げられている。

4 職業教育訓練の個人、企業それぞれからみた意義や問題点
個人側からみた職業教育訓練の意義については、自発的に受けた人は、職業教育訓練の受講そのものに満足する消費的な側面がある。
企業側からすると、職業教育訓練は、単に個人の能力開発、人間力の強化を通じた生産性の向上という役割のみならず、チームワークの育成など企業への帰属意識の形成という役割も持っている。
個人が自己啓発を行う場合の問題点としては、時間的・金銭的な制約に関する事柄が高い割合となっているが、多様なニーズに応えられる職業教育訓練機関の不足や、情報提供面での問題、企業内における能力評価などの問題も存在している。
企業にとっては、職業教育訓練の体制をどう構築していくかということや、職業教育訓練投資を行った人材の流出防止、時間的・金銭的な面などが問題となっている。

5 人間力強化に向けた今後の展望
職業意識の形成を支援するために、学校教育の段階から、職業に関する情報に触れる機会を増やすことで働くことへの関心を高めていくとともに、実際の職業や仕事がどのようなものであるのかということを認識する機会を増やすことによって、どういった仕事に就きたいのかということを考える機会を提供していくことが必要である。
高等教育が果たす役割も変化していく必要がある。例えば、専門的な研究者を育成するという従来の大学の役割に加えて、個人個人の多様な教育ニーズに合わせて、仕事に関する実践的な専門的知識や技能を取得することができるような多様な教育サービスを提供していくことが求められるようになる。
企業における職業教育訓練の役割の変化が懸念される現状では、企業における職業教育訓練に代わるような職業教育訓練機会の提供が求められている。
フリーター、ニートへの支援として、就業のための専門的知識を短期間で取得できるよう、教育訓練給付金制度や公的な職業教育訓練機会提供の場を最大限活用しながら、短期教育プログラムを開発、導入していくことは有効な対策と考えられる。

参考資料
平成18年度 年次経済財政報告
第3章第2節 職業能力の取得という観点から見た人間力強化に向けた課題

関連エントリー
経済財政白書2006解説
2006年版経済財政白書を読む(1)-社員重視の日本的経営
2006年版経済財政白書を読む(2)-就業形態の多様化と非正規雇用者の拡大
2006年版経済財政白書を読む(4)-経済格差(所得・消費・資産)の状況
2006年版経済財政白書を読む(5)-若年者雇用政策

「骨太の方針2006」を読む(4)-再チャレンジ支援
2006年版労働経済白書を読む(1)~(5)-格差社会と労働政策
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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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