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社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版経済財政白書を読む(4)-経済格差(所得・消費・資産)の状況
2006年版(平成18年版)経済財政白書の「第3章第3節 家計からみた経済格差」を所得格差、消費格差、資産格差の状況を中心にまとめました。経済統計データをもとに把握できる所得格差は、全体として緩やかに拡大しているが、世帯人員数の縮小や高齢者世帯の増加などによる部分が大きい。単身世帯を含めた総世帯のジニ係数は99年から2004年にかけてわずかながら縮小しているが、平均所得の低下のなかで所得分布が集中している。最近は、若年層において所得格差が拡大しているが、こうした動きは若年層の雇用情勢、あるいは非正規雇用の増大と関係している。


第3節 家計からみた経済的格差

1.経済統計データにもとづく経済的格差の動向
(1)所得からみた経済的格差
ジニ係数グラフ)や不平等指数グラフ)で所得格差をみると長期的には緩やかな拡大傾向にある。
ジニ係数で表される所得格差の長期的な上昇傾向については、人口構造の高齢化の進展により見かけ上所得格差が拡大している。年齢が高い階層ほど若年時からの積み重ねられる実績等が所得に反映されることにより所得格差が大きい傾向が強いが、過去に比べて格差の水準は低下する傾向にある。
生活保護受給世帯の動向をみると、高齢者の受給世帯の増加がみられる。生活保護受給世帯数等の増加については、総じてみれば景気や雇用情勢の影響などによるものと考えられ、直近では受給世帯数等の増加の程度は鈍化してきている。(グラフ
99年から2004年にかけて若年層でジニ係数の上昇の動きがみられ、25歳未満の若年層でジニ係数が拡大している。(グラフ

所得格差の国際比較をすると、日本のジニ係数はOECD諸国の平均値をわずかに上回る程度で、英国やアメリカを含む中上位グループ内においては、一番低くなっている。(グラフ
また、2000年値で相対的貧困率(所得の分布における中央値から50%に満たない所得の人々の割合)が15.3%で第5位、貧困ギャップ(所得分布における中央値の50%の所得金額を分母とし、その金額から所得分布の中央値の50%に満たない所得しか享受できていない貧困層の平均所得金額を引いたものを分子として計算される割合)が36.1%で第4位となっている。(グラフ)
しかし、全国消費実態調査(総世帯)で公表されている相対的貧困率をOECDの試算値と比較すると乖離が存在する。(グラフ)さらに、絶対的貧困という尺度で国際比較を行うと、低所得のため生活必需品(食料、医療、及び被服など)を調達することができなかったことがあるかどうかという質問の結果では、調査対象となった先進国のなかで、日本はいずれの品目においても、調達できなかった者の割合が一番小さくなっている。(グラフ

地域間の所得格差は、90年代を通じて低下傾向にあった。ただし2001年度から2003年度にかけて格差の拡大がみられる。この要因について、労働生産性、修正労働力率、修正就業率の寄与に分解して、2001年度と2003年度の比較を行なってみると、労働生産性のばらつきが大きな要因となっている。(グラフ

(2)消費支出からみた経済的格差
消費支出の格差の水準は所得格差より小さい。(グラフ
99年から2004年にかけては、全体でみた消費格差は横ばいないし緩やかな上昇となっている。ただし20代前半や30歳代においては拡大している。なお、消費支出のジニ係数の水準については、おおむね30歳代のジニ係数が低いという「谷」をつけており、高齢層の格差が高いことが分かる。(グラフ

(3)資産からみた経済的格差
資産格差の水準は所得格差と比べ大きい。ここでの資産とは、土地、住宅・宅地等の実物資産と、預貯金、債券、株等の金融資産をいう。
貯蓄率については、高所得層になるほど貯蓄率が高くなっている。世帯主が50代の家計は、20代の家計の7倍近く、60代、70代は20代の9倍前後の純資産を保有している。他方、所得面では、最も所得の多い50代でも20代の2倍強でしかない。(グラフ

(4)労働所得でみた経済的格差
労働所得でみたジニ係数は、97年以降2002年にかけてはすべての年齢層で格差が拡大し、特に20歳代、30歳代の若年層における拡大度合いが大きくなっている。(グラフ
これは、労働所得水準の低い非正規雇用の割合が高まることで、全体のジニ係数も高まったと考えられ、若年層の非正規雇用割合の高まりが、若年雇用者の労働所得のジニ係数がより大きくなることにつながった。
個人単位の労働所得で格差が拡大しているのにもかかわらず世帯単位の所得で格差に変化がないことの要因としては、世帯主以外の世帯員の労働所得が世帯全体の所得を補填する方向に寄与したことなどが考えられる。
就業構造基本調査
で、年齢別・所得階層別の妻の有業率をみると、30歳以上の勤労者層において、夫の所得が低いほど、妻の有業率が高いという状況にある。(グラフ
大学卒男性の40歳代においては、賃金格差が拡大していることが示される。90年代後半以降には、さらに50歳代においても格差が拡大している。 こうした動きは、成果主義的な賃金制度の導入が背景にあることが伺える。(グラフ

2.社会的階層の動向
戦後以降、2000年まで社会的階層の明確な固定化はみられない。(グラフ

3.国民の格差に対する意識について
国民の格差に関する意識をみると、代表的なアンケート調査に現われた我が国の中流意識は、安定しており急激な変化がみられるような状況にはない。
国民生活に関する世論調査(内閣府)において、生活水準が「中の中」と回答している割合は、70年代に60%に達した後も、80年代以降から一貫して50%から60%の間で推移している。(グラフ
しかし、地位と報酬に関する意識の理想と現実との間のギャップがある。努力に相応して地位や報酬を得ることが望ましいという人が半数に達しているのに対し、現実に努力した人が地位や報酬を得ているとみているのは2割程度となっている。逆に、結果として実績をあげた人が実際は地位や報酬を得ていると考えている人が半数に達している。(グラフ

各種の世論調査の結果をみると、共通して所得格差などの格差が拡大していると認識している人々は、調査対象の6割以上を占めるとする結果となっているが、その要因は三つ指摘されている。
1.長期のデフレの影響や全体の所得が伸びないということで人々が格差に対して敏感になっていること。
高成長のもとで生ずる格差は、名目所得の上昇幅の大小間で生じるにすぎない。しかしデフレや全体の所得が頭打ちとなる状況のもとでは、所得が上昇する人と低下する人に分かれることになり、対比が鮮明となる。
2.年功序列制に基づいた賃金制度が変化し、成果主義などのあたらしい賃金方式が導入され、横並びが崩れてきたこと。
大学卒男性の40歳代、50歳代などで、例えば成果主義的賃金制度などの年俸制や実績重視型の賃金制度の導入による影響。
3.IT関連企業など極めて成長性の高い企業部門でIPO(新規株式公開)などによる突出した高所得者が出現する一方、リストラの進展で社会的地位を失い、経済的にも厳しい状況に陥る人々も存在するというような個別事例に基づく分極化が生じているとの認識。

参考資料
平成18年度 年次経済財政報告
第3章 第3節 家計からみた経済的格差

関連エントリー
経済財政白書2006解説
2006年版経済財政白書を読む(1)-社員重視の日本的経営
2006年版経済財政白書を読む(2)-就業形態の多様化と非正規雇用者の拡大
2006年版経済財政白書を読む(3)-職業教育訓練の課題
2006年版経済財政白書を読む(5)-若年者雇用政策

2006年版労働経済白書を読むシリーズ(1)~(5)-格差社会と労働政策
OECD 対日経済審査報告書( 2006 年版)の社会保障政策

参考エントリー
大竹文雄のブログ 経済財政白書へのコメント
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テーマ:格差社会 - ジャンル:政治・経済

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【2006/12/16 19:40】 URL | りふれ蟲 #- [ 編集]


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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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