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2006年版経済財政白書を読む(2)-就業形態の多様化と非正規雇用者の拡大
2006年版(平成18年版)経済財政白書の「第3章第1節 雇用の変化とその影響」を中心にまとめました。
90年代後半以降、人件費削減を目的とした企業のリストラを背景に、一貫して正規雇用者が減少する中で、パートタイム労働者、派遣社員、契約社員など、様々な形態の非正規雇用が増加し続けるという動きがみられている。とりわけ若年の非正規雇用者等が増加して、厳しい状況となっている。さらに地域雇用の状況にはばらつきがみられる。このように、非正規雇用増加については、経済のグローバル化や情報化の進展など構造変化の要因もあり、今後も活用は続くものの、正規雇用の回復も期待できるような状況となってきている。
労働政策審議会の派遣労働(偽装請負含む)の最新資料を随時、追記しています。


第1節 雇用の変化とその影響

1 雇用形態の多様化
(1)正規・非正規雇用者数
正規雇用者数は、90年代半ばまで緩やかに推移したのち、97年以降は、ほぼ一貫して減少を続けており、2005年には3,300万人程度となっている。一方、非正規雇用者数は、94年に前年より減少した後、95年に1,000万人を超え、2005年には1,600万人程度となり、は雇用者数の約3人に一人が非正規雇用者となっている。(グラフ

(2)業種別非正規雇用比率
卸売・小売業、飲食店、サービス業による非正規雇用比率が全産業の非正規雇用比率より高くなっているのに加え、最近では金融・保険業、不動産業や運輸・通信業の上昇も顕著である。一方、規模の小さい企業は以前から非正規雇用比率が高かったが、このところ、規模の大きい企業の非正規雇用比率が高くなっている。(グラフ

(3)正規・非正規雇用の賃金格差
正規雇用と非正規雇用の男女別の賃金格差をみると、男性の場合は、年齢が高いほど格差が大きいという傾向が強い。正規雇用者中心の年功序列制度を背景に、年齢が上昇するほど拡大し、50歳代前半で、正規雇用者の約5割程度となる。これに対して女性の賃金格差は、40歳代以降ほぼ横ばいで正規雇用者の6割程度となっている。(グラフ

(4)非正規雇用者増加の要因
2004年以降はパートタイム労働者比率は頭打ちとなっているが、制度改正(2004年1月施行の改正労働基準法における有期労働契約期間の延長、同年3月施行の改正労働者派遣法における製造業への派遣解禁や、大幅に利便性が緩和された紹介予定派遣)があったフルタイム労働の派遣社員や契約社員・嘱託の非正規雇用者は増加しており、人件費の削減や雇用調整という目的で非正規雇用を活用している動きが強まっている。
最新資料
※派遣労働者の受入れ企業数割合は36.7%で、前回(平成10年調査20.3%)に比べ16.4ポイント上昇した。企業規模別にみると、300~999人規模が65.4%、次いで1,000人以上規模が64.4%と6割を超えている。
派遣労働者受入れ企業の常用労働者に対する派遣労働者数割合は12.4%で、前回(同5.8%)に比べ6.6ポイント上昇した。

派遣労働者受け入れ企業の割合(平成18年就労条件総合調査結果の概況)

(5)非正規雇用者増加の影響
非正規雇用者は女性や高齢者を中心に現在の就業形態を続けたいとする割合が高く、若年層では正規雇用者を希望する割合が高い。雇用形態別にみると、派遣社員や契約社員で、「現在の就業形態から変わりたい」とする者が高くなっている。
非正規雇用者については、昇進・昇給の機会が乏しく、将来の所得などの見通しを立てることが困難であるという点で、若年層にとっては懸念材料となる。また、定着性が低いため、企業も生産性の向上という観点からの人材育成をせず、非正規雇用者の増加は企業における職業教育訓練投資の在り方に影響を与えている。(グラフ
非正規雇用増加については、経済のグローバル化や情報化の進展など構造変化の要因もあり、今後も活用は続くものの、正規雇用の回復も期待できるような状況となってきている。

最新資料
派遣労働(偽装請負含む)に関しては、労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会で議論しています。会議で配布された資料等が公開されましたら、随時追記していきます。
労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)配布資料(2006年12月)
これまでのフォローアップと更なる検討が必要な事項PDF
労働者派遣事業制度に関する今後の議論の進め方についてPDF
労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)配布資料(2006年9月、10月)
派遣関係資料1  派遣関係資料2  派遣関係資料3
派遣労働の実態

2 厳しい若年雇用情勢
(1)若年層の失業率
若年層の失業率をみると、90年代半ばから急速に高まり、15歳から24歳は2003年に10.1%、25歳から34歳は2002年に6.4%とそれぞれピークをつけた。その後低下に転じたものの、2005年は15歳から24歳は8.7%、25歳から34歳までは5.6%と依然、全体の失業率(4.4%)に比して高水準で推移しており、若年層の雇用情勢は厳しい状況にある。(グラフ
これを男女別にみると、男女ともに15歳から34歳はピーク(男性は2003年、女性は2002年)から1~2%ポイント程度改善しているものの、全体の失業率の水準よりは高くなっている。特に男子の15~24歳の層が依然10%近くの失業率となっている。(グラフ
25歳から34歳の若年層の長期失業者が最も多くなっており、長期失業者全体に占める割合は3割前後で推移している。若年層における失業率の上昇は、景気の影響を受けた面もあるものの、仕事の分野や内容のミスマッチが拡大したことも強く影響している。

(2)失業率が高い背景
若年の失業率が高くなっている背景としては、先に述べたような若年失業が長期化していることや、一般に定着率が低い非正規雇用の比率が高くなっていることなどがあげられる。
この両方の動きは、非正規雇用のうち、フリーター以外の派遣社員や契約社員等及びその希望者が05年も引き続き増加していることが、若年の非正規雇用者及びその希望者を増加させている可能性があることを示している。一方、非労働力人口のうち、年齢15歳から34歳の者で、かつ、家事・通学をしていない者(ニート)については、改善の動きはみられない。

(3)非正規雇用から正規雇用への移行
フリーターをはじめとする若年の非正規雇用者が正規雇用者へ移行することは近年より難しくなっているとみられる。
フリーター数を年齢別にみると、15歳から24歳のフリーターは97年以降、100万人前後と水準に変化がみられないなか、その上の年齢階層である25歳から34歳については、97年の49万人から、2002年には91万人と倍近くになり、その後も高止まりして推移している。(グラフ) このように、雇用情勢が厳しかった90年代を経た世代が、現在においては若年より上の世代となっても、就業することが困難な状況がうかがえるようになっている。

(4)非正規雇用者の生涯賃金
フリーターを含む若年の非正規雇用者については、中高年になっても非正規雇用にとどまる場合、所得面の損失は大きくなり、我が国経済に与える影響が懸念される。
労働者一人当たりの生涯賃金でみても、正規雇用とそれ以外、さらにパートと比較すると、格差があることが確認される。(グラフ
マクロの影響として、仮に、若年の非正規雇用者(及びその希望者)の経済への影響を、正規雇用でないことによる所得逸失分として試算すると、現在の360万人の若年非正規雇用者(含む希望者)の影響は、6.2兆円(2005年価格、GDP比で1.2%程度)と試算される。

3 地域別雇用
地域の雇用情勢をみると、いずれの地域も改善がみられるものの、回復の状況にばらつきがみられる。
2005年の地域ブロック別の完全失業率をみると、全国平均の4.4%に対して、近畿、九州、東北、北海道のブロックで全国平均を超えて、5%台となっている。足元でも一進一退で推移しており、明確な縮小トレンドはみられない。全国単位でみられる若年失業率の高さが地域別の失業率の状況にも反映されている。

参考資料
平成18年度 年次経済財政報告
第3章 第1節 雇用の変化とその影響

関連エントリー
労働市場改革(労働ビッグバン)-労働者派遣法改正の方向

経済財政白書2006解説
2006年版経済財政白書を読む(1)-社員重視の日本的経営
2006年版経済財政白書を読む(3)-職業教育訓練の課題
2006年版経済財政白書を読む(4)-経済格差(所得・消費・資産)の状況
2006年版経済財政白書を読む(5)-若年者雇用政策

労働経済白書2006解説(1)~(5)
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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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