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社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版経済財政白書を読む(1)-社員重視の日本的経営
2006年版(平成18年版)経済財政白書の「第2章第2節 日本企業の特徴とその変化」を中心にまとめました。
日本企業は、国際的には技術集約度の高い産業において比較優位をもっているが、その背景には、長期的な雇用慣行の下で、優れた人的資本の蓄積が行われてきたことが重要な役割を果たしている。また、社員を重視する企業の業績は相対的に良好であり、企業内部の人的資本の充実が今後も重要な鍵となる。他方、メインバンクへの依存、長期的な企業間取引慣行等には変化もみられている。

第2節 日本企業の特徴とその変化

1.世界における日本の産業のパフォーマンス
(1)日本の製造業
日本は、製造業の中でも電気機械、自動車、一般機械等を含む技術集約度が比較的高い業種の生産性がOECD諸国の中でも相対的に高く、食料品、繊維製品等を含む技術集約度の低い業種の生産性が相対的に低い傾向がみられる。

(2)日本企業の特徴
日本企業の特徴は、経営戦略として長期的な成長を志向する傾向があるために、長期的な視野で研究開発に投資を行ってきたこと、日本の経営者は内部昇進でかつ技術系の出身者が比較的多いために研究開発に積極的な傾向があること、研究・生産・販売の現場の連携が高く新技術への現場の適応能力が高いこと等である。
さらに、こうした日本企業の特徴は、終身雇用制のような長期雇用の慣行や、安定株主が多く内部出身の経営者の裁量が高いといったような、いわゆる日本的経営と呼ばれるものとも密接に関連している。
ただし、こうした日本的経営は、自動車のように、部品メーカーと完成車メーカーの間の協調や開発陣と生産現場の協調的作業が必要とされるような「擦り合わせ型(インテグラル型)」の製品においては優位をもっているものの、パソコン等一部のIT製品のような汎用部品を組み合わせて作る「組み合わせ型(モジュール型)」の製品分野では生かされない。

2.国際的にみた日本企業の特徴とその変化
日本企業の雇用調整速度は、アメリカと比べた場合にはかなり遅いが、英国、フランス、ドイツといった欧州諸国と比べた場合にはそれほど変わらない。国際的にはアメリカの雇用調整速度の速さが目立っている。

3.日本的経営の変化と企業のパフォーマンス
(1)日本的経営とは
(1) 終身雇用と年功賃金制に代表される企業内部組織
(2) 企業内部から昇進した経営者と銀行を中心にした企業統治のしくみ(企業の効率的運営を担保する監視と規律付けのしくみ)
(3) 企業グループや系列といった企業間の長期的な取引関係の構築

終身雇用年功制は、長期間の雇用を保障し、外部からの中途採用を制限するとともに、年齢、勤続年数、実績に基づいた昇進システムを通じて、内部の従業員に企業固有のノウハウや技術を蓄積するインセンティブを与え、組織内での協力を高める効果を持つとされている。
また、こうした内部組織の中では、組織内部の様々な部署・階層間で情報の共有が行われ、組織の階層に頼らない水平的な意思決定の調整が行われるとされる。

企業統治は、企業の主たるステークホルダー(利害関係者)は従業員であると考えられているため、日本の企業では取締役が内部出身者によって占められ、社外の取締役の割合が低いという慣行がみられるが、メインバンクも一定の監視機能を果たしてきた。

企業間取引は、大企業がその子会社や関連会社の企業統治に果たす役割の大きさが指摘されるとともに、日本の完成品メーカーと部品メーカーの間の協調関係が日本企業の競争力を支える面もあるとの評価も多い。

(2)日本的経営の変化
(1) メインバンク依存・株式持合いの低下
(2) 年功賃金の程度は縮小し、終身雇用は維持する

年功型賃金制は、終身雇用制度を維持するためのインセンティブ・システムとして採用されているものである。90年代以降は、景気の低迷によって企業の新卒採用が縮小したこともあり、従業員の年齢構成がより高年齢層中心にシフトして、企業の人件費負担が著しく増加した。
企業は、定期昇給の廃止や成果主義賃金の導入などを進めており、雇用システムに変化がみられている。
成果主義賃金は、専門的な技能を有する人材を社外から積極的に採用している会社でより多く採用されており、最近時点になるほど、企業の年齢別の賃金上昇カーブは傾きが緩やかなものとなっている。

終身雇用は、引き続き正社員に関しては維持している日本企業が多い。
賃金構造基本統計調査によると、短時間労働者を除いた一般社員の平均勤続年数は2005年で12.0年であり、1990年時点の10.9年と比べても長期化している。10年以上の勤続者の割合も47%台(2004年)となっている。
ILOの国際比較調査によると、日本の平均勤続年数は、アメリカの6.6年(97年)、英国の8年(2002年)よりもかなり長く、比較的長期雇用が多いといわれるEU14カ国平均の10.6年(2002年)よりも長い。10年以上の勤続者の割合は、アメリカの26.2%(2002年)、英国の32.1%(2002年)と比べて高く、EU14カ国平均の41.5%(2002年)も上回っている。

(3)企業アンケート結果
(1) ステークホルダー
終身雇用制や従業員中心の企業統治については、重視するステークホルダーが従業員と答えた企業が7割近くにのぼっているほか、正規社員の雇用方針についても、長期安定雇用を今後も維持していくと答えた企業の割合は9割に達している。
他方、株主を挙げた企業も8割にのぼっており、多くの企業が株主の存在を相当程度意識している様子がみられる。
従業員を重視する企業では、営業面・技術面の優位を生かして高い収益性を実現しており、企業業績の回復が続く中で、あらためて日本的な経営に自信を深めている企業が増えているものと考えられる。

(2) 企業間取引
メインバンクとの関係、長期的な企業間の取引については、それほど重視している企業の割合は高くない。

(3) 財務戦略
財務戦略については、売上高といった規模の追求を優先する傾向が強いが、ある程度効率性も重視している様子がみられる。

参考資料
平成18年度 年次経済財政報告
第2章 第2節 日本企業の特徴とその変化
経済財政分析ディスカッション・ペーパー・シリーズ
アンケート調査からみた日本的経営の特徴PDF
企業の賃金決定行動の変化とその背景PDF

関連エントリー
経済財政白書2006解説
2006年版経済財政白書を読む(2)-就業形態の多様化と非正規雇用者の拡大
2006年版経済財政白書を読む(3)-職業教育訓練の課題
2006年版経済財政白書を読む(4)-経済格差(所得・消費・資産)の状況
2006年版経済財政白書を読む(5)-若年者雇用政策

OECD 対日経済審査報告書( 2006 年版)の社会保障政策
2006年版労働経済白書を読むシリーズ(1)~(5)-格差社会と労働政策
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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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