nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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OECD 対日経済審査報告書( 2006 年版)の社会保障政策
「OECD対日経済審査報告書(2006年版)」から、社会保障政策を中心にまとめました。
人口高齢化は所得格差拡大の一因であるが、労働市場における二極化も重要な要素である。正規雇用者に対する雇用保護の緩和などの包括的アプローチにより、非正規雇用者の使用の増加を反転させるべきである。また、他の先進国に比べて母子家庭の相対貧困率が高いことから、社会保障費の対象を母子家庭などの社会的弱者により重点化すべきである。



1.年金制度改革
2004 年度の年金制度改革により、所得代替率を59%から50%まで下げれば、年金支払額は2010 年まで対GDP 比で約9%に維持されると予測されているが、達成できない場合は、保険料率のさらなる引き上げではなく、年金受給開始年齢の引き上をするべきである。
保険料率の上昇には未納率をさらに上昇させるリスクがある。国民年金の未納率は33%であり、政府の試算の前提となった水準を既に大きく上回っている。

2.医療制度改革
医療は、診療報酬の大幅削減や、75 歳以上を対象とした新たな保険制度の導入により、支出は2010 年まで対GDP 比約5.5%に維持できると予測されているが、支出抑制の予測の大部分は、生活習慣病の予防による医療需要の縮小に依存している。こうした削減の達成が困難であることを考慮すれば、追加的な改革が必要とされる。
より高質で高効率の医療および長期介護を達成する鍵は、企業による病院や介護施設の経営を可能にするなどして民間部門の活力をさらに活用することである。

3.消費税率の引き上げ
政府財政収支の改善(対GDP 比約5%)を達成するためには、歳入の増加が必要となる。課税対象となる世帯収入は1/2 未満であり法人税を支払う企業は全体の1/3 にとどまっていることを考慮すれば、税収を増やすためには、経済の効率性と成長の向上にも資する課税ベースの拡大を図ることが重要である。
また、納税者番号制度など納税率の向上策により、税収を増加しつつ効率性と公平性を高めることができる。財政再建を達成するためには消費税率の引き上げも必要であろう。

4.所得格差の是正
ジニ係数は、1980 年代半ば以降大幅に上昇し、OECD 平均をやや上回るまでに上昇し、日本の相対貧困率は今やOECD 諸国で最も高い部類に属する。主な要因は労働市場における二極化の拡大にあると考えられる。10 年前には全労働者の19%だった非正規労働者の割合は、30%以上に増加した。パートタイム労働者の時間当たり賃金は平均してフルタイム労働者の40%にすぎない。この格差は、生産性の差で説明するには大きすぎると考えられる。
非正規労働者の増加は部分的には景気循環要因で説明されるが、非正規労働者から正規労働者になった者の割合が低いことを考慮すれば、労働市場の二極化が固定化するリスクがある。正規労働者に対する雇用保護を緩和するなど、企業の非正規労働者雇用のインセンティブを低下させる包括的なアプローチが必要とされる。また、臨時雇用者に対する社会保障の対象範囲を拡大し、非正規労働者の雇用見通しを改善することが重要である。

5.母子家庭への対策
2000 年には働いている片親の半数以上は相対的貧困状態にあったが、OECD 平均は約20%である。また、日本では無職の片親よりも就労中の片親における貧困率のほうが高い。片親における著しい貧困が要因となり、2000 年の児童の貧困率はOECD 平均を大きく上回る14%に上昇した。
民間部門の負担する教育費の割合が比較的高いことを考慮すれば、貧困が将来世代に引き継がれることを防ぐため、低所得世帯の子供の質の高い教育への十分なアクセスを確保することが不可欠である。

6.女性の労働力率を高める
労働力率の減少を抑えるためには、女性の労働参加に対する負のインセンティブの撤廃がより効果的である。政府は女性のフルタイム就労を妨げる税金・社会保障制度の側面を緩和または撤廃すべきである。また、保育施設を拡充するとともに、男性の育児休暇取得やよりファミリーフレンドリーな職場づくりを促すことが不可欠である。

参考資料
OECD 対日経済審査報告書 2006 年版
グリアOECD事務総長の訪日(概要と評価)

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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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