nami社会保障通信
社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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ホワイトカラー・エグゼンプション導入の論点
今日の朝日新聞朝刊オピニオン面では、労働法制改革の最大の争点、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入について取り上げています。紀陸孝氏(日本経団連専務理事)と藤村博之氏(法政大大学院教授、人的資源管理論、労使関係論)の主張をまとめてみました。
国際競争で日本企業の優位性を保つためには、優秀な人材を集める必要があり、成果を中心とした賃金制度に変えるべきだと主張する紀陸氏に対し、藤村氏は、日本企業の優位性を保ってきたのは、組織の高いチームワークであり、ホワイトカラー・エグゼンプションの導入はマイナスに働く。管理職の職場管理能力を回復するべきだという主張。

日本版ホワイトカラー・エグゼンプションは、2007年通常国会提出法案では、自己管理型労働制という名前になり、管理監督者一歩手前のホワイトカラー労働者について、4週間を通じて4日以上かつ1年間を通じて週休2日分の日数(104日)以上の休日の確保、確保しなかった場合には罰則を付すものとし、健康・福祉確保措置の実施しつつ、労働時間に関する一律的な規定の適用を除外する制度になりました。→労働契約法案要綱及び労働基準法の一部を改正する法律案要綱
法案提出を巡る政治の動きはこちらでわかります。→nami社会保障通信ブックマーク / 政治 / 労働


多様な働き方で高い成果(紀陸孝氏)
1.ホワイトカラー・エグゼンプション導入の理由
日本の労働基準法は、工場労働者には適合するが、ホワイトカラー労働者には適合しない。労働時間の長さと成果が必ずしも比例しないからである。ホワイトカラー労働者の中で、労働時間を管理できる社員には、「労働時間規制の適用除外」という新たな選択肢も必要ではないか。

2.賃金は労働時間ではなく成果を中心に決めるべき
国際競争が激しい中では企業の存続には、成果がより重要だ。優秀な人材を集めるためには、賃金も労働時間の長さではなく、成果を中心に決められるべきだ。

3.ホワイトカラー・エグゼンプションの要件
「日本型」は、個別企業で労使合意の枠組みがある場合に限る。対象業務は、企業により様々なので、労使が合意して決定すればいい。一定年収要件として日本経団連は「年収400万円以上」を提案している。

対象労働者の要件(法案から追記)
1.労働時間では成果を適切に評価できない業務に従事する者
2.業務上の重要な権限及び責任を相当程度伴う地位にある者
3.業務遂行の手段及び時間配分の決定等に関し使用者が具体的な指示をしないこととする者
4.年収が相当程度高い者
※対象労働者としては管理監督者の1歩手前に位置する者が想定されることから、年収要件もそれにふさわしいものとすることとし、管理監督者一般の平均的な年収水準を勘案しつつ、かつ、社会的に見て当該労働者の保護に欠けるものとならないよう、適切な水準を検討した上で厚生労働省令で定めることとする。

4.ホワイトカラー・エグゼンプション導入の利点
制度導入の利点は、個々の労働者が多様なニーズに合わせて、自律的に働けるようになることだ。時間管理を任された個人が、短時間で効率的に働けば、「長時間労働」を解消していくことにもつながる。

長時間労働が固定化する(藤村博之氏)
1.労働実態を無視したまま議論が進んでいる
総務省の労働力調査(05年)では、30歳代男性の4分の1が週60時間以上働いていると答え、その比率は増加傾向にある。労働政策研究・研修機構が04年に残業の理由を調査したところ、残業時間が比較的短い人は「自分の仕事をきちんと仕上げたいから」を主な理由にしているが、週20時間以上残業している人の場合、「所定時間内で片づかない仕事量だから」という回答が最も多い。
資料 労働時間の二極化
※週35時間未満働く労働者の全体に占める割合が増加傾向にある一方、週60時間以上働く労働者の割合は10%超で推移している。30歳代の男性で週60時間以上働く労働者の割合は、20%台で高止まりしている。

2.長時間労働が固定化し、健康問題が深刻化する
人員削減で長期不況を乗り切ったあとも、1人あたりの仕事の負荷は増えており、このような状態で労働時間管理の規制をはずすと、長時間労働の固定化につながる。米国で健康問題が深刻化していないのは、適正な労働時間の範囲に収まるよう仕事の管理ができているから。

労使委員会の決議事項(法案から追記)
1.対象労働者の範囲
2.賃金の決定、計算及び支払い方法
3.週休2日相当以上の休日の確保及びあらかじめ休日を特定すること
4.労働時間の状況の把握及びそれに応じた健康・福祉確保措置の実施
5.対象労働者の同意を得ること及び、不同意に対する不利益取扱いをしない
※「週当たり40時間を超える在社時間等がおおむね月80時間程度を超えた対象労働者から申出があった場合には、医師による面接指導を行うこと」を必ず決議し、実施する。

3.日本の競争優位性は管理職の職場管理能力
労働省の素案では、対象労働者の要件として「追加の業務指示を一定範囲で拒絶できる者」と枠をはめているが、「少し無理してもでも仕事をやり遂げることが組織のためになり、会社もそれに報いてくれる」という「善意と信頼」が日本社会の基盤になっており、競争力を高めてきた。新たな仕事を拒否できる交渉力を前提に成り立つ制度の導入は、日本の競争優位性にマイナスになる。日本の企業で今一番問題になっているのは、管理職の職場管理能力が弱くなっていることだ。組織の一体感を大事にする管理能力の回復こそが、今すぐ手をつける課題である。

ホワイトカラー・エグゼンプション
管理や運営、専門などの職にあり、収入が週455ドル以上などの要件を満たす労働者を対象に残業代支払いの規定から除外するアメリカの制度

2006年12月資料
今後の労働契約法制及び労働時間法制の在り方について(報告)


関連エントリー
労働市場改革(労働ビッグバン)-2007年通常国会提出8法案
労働市場改革(労働ビッグバン)専門調査会を設置
労働市場改革-複線型でフェアな働き方に

経済財政運営の中期方針(2007年~2011年)解説
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(1)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(2)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(3)


参考エントリー
労働契約法案・労働基準法改正案要綱(EU労働法政策雑記帳)
ホワイトカラー・エグゼンプションとは何なのか(吐息の日々~労働日誌~)
ホワイトカラー・エグゼンプションは誰のものか(吐息の日々~労働日誌~)
ホワイトカラー・エグゼンプションで賃金は下がるか(吐息の日々~労働日誌~)
ホワイトカラー・エグゼンプションで労働時間は短縮されるか(吐息の日々~労働日誌~)
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テーマ:政策 - ジャンル:政治・経済

この記事に対するコメント

(ヒソヒソ)ここら辺の話題でhamachanブログで官僚さんが湧いてるね。別にいいんだけど(ヒソヒソ)
【2006/11/14 15:29】 URL | フマ #- [ 編集]


>官僚さんが湧いてるね。
霞ヶ関(立案)だけじゃなくて、都道府県労働局や署の労働基準監督官(運用側)あたりも見てるんじゃないかな
私はエントリーを書くのがめんどくさいので、追記とリンクでhamachanと労務屋さんのブログに誘導しています。(過去記事の有効活用w)
【2006/11/14 17:56】 URL | nami #- [ 編集]


>hamachanと労務屋さんのブログに誘導しています。
もしかして、ここを経由したのかなあ
【2006/11/14 19:13】 URL | フマ #- [ 編集]


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ホワイトカラーエグゼンプション

ネット界でも(笑)話題のホワイトカラーエグゼンプションですが、新聞のオピニオン欄 おたきち雑記帳【2007/01/14 10:52】

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赤澤 波

Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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