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社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版労働経済白書を読む(4)-日本型雇用システム
「第3章第3節雇用システムと勤労者生活」を日本型雇用システムを中心にまとめました。
長期雇用には、企業への勤続を通じた雇用安定機能と企業内での職務経験の蓄積によって職業能力を開発する人材育成機能が備わっている。雇用調整の柔軟性も大切であるが、同時に、企業の中に優れた人材を育成・確保していくことも追求される。職業能力開発の充実については、労働者一人一人について長期的な視点に立った、計画的な職務のローテーションが設計されることが重要である。一方、非正規雇用については、労働者が意欲をもって活躍することができ、企業としてもより戦略的に人材を活用していくことができるよう、職業能力開発機会の提供に積極的に取組むことが重要である。



第3節 雇用システムと勤労者生活

1.経済成長率と失業率
アメリカやイギリスは、経済成長率が落ち込むと急激に失業率が上昇している。これに対し、フランスは失業率の変動幅が小さく、我が国については、その動きはさらに小さい。
このことは、他の国々に比べ、我が国では、経済規模の落ち込みに対し失業率の上昇を抑制しようとする動きが働いていることを示しており、企業が雇用の維持に努める傾向が強いことのほか、労働者を離職させる場合でも、仕事を継続する必要性が低く、非労働力化することのできる労働者から離職させていくなどの配慮があると考えられる。

2.雇用調整の多様化
バブル崩壊以降、マクロ経済環境が悪化し雇用調整の必要性が高まる中で、多くの企業はできるだけ長期雇用を維持するよう行動し、雇用調整は、その分、入職抑制へと集中し若年失業が特に増大し、また、同時にフリーターなどの不安定な就業層が形成されることとなった。
企業は、これらの非正規雇用の労働者について、経営上の都合や経済環境の判断から、契約を更新しないという選択をとることができ、契約期間の満了によって容易に雇用調整を行うことが可能である。就業形態の多様化によって進展した非正規雇用割合の上昇によって、企業は、従来に比べ雇用調整の手段を多様化させることができたのである。

3.正規雇用は長期雇用
就業形態の多様化が進展に伴って、雇用期間の短い非正規雇用が増加する一方で、正規労働者の長期雇用の傾向は、さらに強まっている。
労働者の職業能力は、長期的・継続的な職務経験の積み重ねによって培われるものであり、企業の雇用に関する方針や行動は、労働者の職業能力の形成に大きな影響を及ぼしている。労働者を長期雇用する慣行については、正規雇用に関する限り基本的な変化はみられない。
就業形態の多様化は、従業上の地位が多様化するのと同時に、職業生活の中で、同一企業に勤続する傾向を強める労働者とそうではない労働者との違いを、より際だたせている。

4.30歳代~40歳代の賃金格差の拡大
また、近年の正規雇用の賃金制度の変更が賃金構造に及ぼしている影響については、業績・成果主義を活用した能力評価システムの改善の中で、結果として、男性40歳台半ばまでは賃金カーブが維持される傾向がでてきている。高学歴の管理・事務・技術労働者などのホワイトカラー層中心に業績・成果主義が普及し、30歳台から40歳台において、賃金格差の拡大がみられ、年齢や勤続という外形的な要因で集団的に管理されてきた日本型雇用システムは、一人一人の労働者の能力を評価し賃金に反映させていく個別化の方向へ進んでいることが分かる。

5.日本型雇用システム
日本型雇用システムの本質的な変化のポイントとしては、年齢や勤続年数といった外形的な要素で労働者を集団的に扱ってきた集団主義的な労働関係が変化してきているということであり、特に、賃金について、一人一人の能力形成と能力評価を軸とした個別的な労働関係が形成されてきているということである。また、労働関係の個別化は、必然的に賃金格差を拡大させる傾向を内包している。
また、職業能力評価システムが改善する中で中途採用者の賃金処遇も改善しており、社会全体としても実力主義を受けとめることができるようになっている。仕事に取組む意欲を高め、やりがいを持つことがきるように、労働者が主体的・継続的に職業能力開発に取り組めるような環境を整備していくことが、企業にとっても、また、労働者自身にとっても、さらには、社会全体にとっても、重要な課題となっている。

参考資料
平成18年版(2006年版)労働経済の分析(要約版)
平成18年版(2006年版) 労働経済の分析(本文版)

関連エントリー
労働経済白書2006解説
2006年版労働経済白書を読む(1)-拡大する非正規雇用
2006年版労働経済白書を読む(2)-製造業の請負労働
2006年版労働経済白書を読む(3)-若年者の職業的自立支援
2006年版労働経済白書を読む(5)-労働政策の課題

経済財政白書2006解説
2006年版経済財政白書を読む(1)-社員重視の日本的経営
2006年版経済財政白書を読む(2)-就業形態の多様化と非正規雇用者の拡大
2006年版経済財政白書を読む(3)-職業教育訓練の課題
2006年版経済財政白書を読む(4)-経済格差(所得・消費・資産)の状況
2006年版経済財政白書を読む(5)-若年者雇用政策


参考エントリー
労働経済白書(EU労働法政策雑記帳)
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Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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