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社会保障政策(年金・医療・介護・生活保護・雇用・少子化対策)の解説や意見
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2006年版労働経済白書を読む(3)-若年者の職業的自立支援
「第3章第1節 勤労者生活の変化 第2節 若年者の就業機会と職業能力開発機会」を若年者の職業的自立支援を中心にまとめました。
若年層では収入の低い労働者の割合が増加し、正規雇用と比べ非正規雇用では職業能力開発の機会も十分ではないことから、非正規雇用で働く若年者の職業能力の形成が進まず、今後の所得格差の拡大が懸念される。また、若年者が職業的自立を図れないために、結婚し、家族を持つことができなくなるなど若年者の厳しい雇用環境が少子化を促進する要因にもなる。
正規雇用への移行促進、非正規雇用における職業能力開発機会の充実などにより、若年者の職業的自立を進め、所得格差の固定化を招かないように取組むことが重要である。


第1節 勤労者生活の変化

1.若年層の格差拡大
就業形態の多様化の中で、非正規雇用割合の上昇がみられたが、特に、1990年代半ば以降では若年層の非正規雇用割合の上昇が大きく、収入の低い労働者の割合が増加し、若年層で収入格差の拡大の動きがみられる。

2.格差の固定化を懸念
(1)所得格差の動向
社会全体の所得格差の動向については、高齢者世帯間では所得格差が大きく、また、小規模世帯が増加すると所得の少ない世帯が増加し格差を拡大させるなどの特徴があるため、高齢化や小規模世帯の増加などに伴い、格差を示す統計数値の上昇がみられる。
高齢化、世帯の小規模化などの影響を除けば、世帯単位でみた所得格差の明確な拡大傾向は認められない。

(2)若年層の所得格差
収入の低い労働者が若年層において増加しているが、今のところ、収入の低い者の多くは親と同居していることなどから、こうした動きは、世帯単位でみた所得格差の拡大に直接つながるものではないと考えられる。
しかし、正規雇用と比べ非正規雇用では職業能力開発の機会も十分ではなく、非正規雇用では職業能力形成も進みにくいため、今後、これらの層が独立しなければならなくなったときに、所得格差が拡大したり、固定化することが懸念される。
最近では、フリーターの減少など状況の改善がみられるところであるが、景気の持続的回復傾向の中で若年者の正規雇用化の動きを推進し、若年者の職業的自立を通じて格差の固定化を招かないようにしていくことが重要である。

第2節 若年者の就業機会と職業能力開発機会

1.非正規雇用から正規雇用への移行が困難
(1)正規雇用への移行
若年者の就業機会について現状をみると、景気回復に伴い新規学卒者にとっては、正規雇用への選択肢が広がってきているが、バブル崩壊以降、採用抑制が厳しかった時代に非正規雇用に就いた若年者にとっては、正規雇用への移行は依然として難しい状況にある。パートやアルバイトの仕事を繰り返しながら不安定就業を続けている者も多く、こうした人々の年齢層も次第に上がっている。

(2)年長フリーター
職業氷河期世代の年長フリーターには滞留傾向がみられ、就業意欲に欠ける、いわゆるニートの数も近年高止まりしている。現状では、新規学校卒業後、パートタイマーやアルバイトなどの非正規雇用の仕事についた者は、正規の雇用に転職しようとしても容易ではなく、職業能力開発の機会も相対的に乏しい。

2.非正規雇用は少子化の要因
非正規雇用の若年者は、勤続してもあまり賃金は上昇せず、離職率は相対的に高く、所得は低い水準にある。親から独立することが難しく、親と同居する者の割合が高く、有配偶率も低い。これらは進行する少子化の傾向をさらに促進する要因にもなっているほか、公的年金に加入していない者の割合も相対的に高いことから、日常生活で生じる事故や老後の備えができていない場合も多い。

3.若年者の職業的自立支援
(1)人材育成
企業は、若年者を雇用契約期間の短い非正規雇用として調達することによって、コストの抑制や生産・サービスの柔軟な提供を実現することができたが、このような企業行動は、長期的・継続的な視点を欠き、若年者の育成を通じた職業能力の持続的な向上を引き出していくことはできない。
労働者の職業能力は、職務の経験を積みながら技術・技能を一つ一つ身につけることによって高められるのであり、新規学卒者の計画的な採用と育成は、それぞれの企業にとって価値ある人材を採用し育て、蓄積していくことを意味する。

(2)新しい職業訓練システム
企業内の職業訓練を中心として機能している現行の人材養成システムについて、基本的には、その機能を維持しつつも、企業内での職業訓練機会に恵まれない者にとっても、十分に職業能力開発の機会が得られ、自らのキャリアを形成していくことが可能となるよう、職業能力開発機会の提供を社会的に充実させていくことが求められる。
厚生労働省では、新しい職業訓練システムとして、平成16年4月から、実務・教育連結型人材育成システム(日本型デュアルシステム)を開始し、その受講を促進するための取組みを行っている。
また、これをさらに発展させる取組みとして、企業が主体となり、「自社のニーズに応じた教育訓練機関における理論面での基礎教育」と「訓練生を自社において一定期間雇用する形で行う実習」を効果的に組み合わせる実践型人材養成システムを新たな制度として立ち上げ、これを就労・就学双方の要素を併せ持った「第三の選択肢」とすべく検討が進められている。


参考資料
平成18年版(2006年版)労働経済の分析(要約版)
平成18年版(2006年版) 労働経済の分析(本文版)
日本版デュアルシステムホームページ
実践型人材養成システムホームページ

関連エントリー
労働経済白書2006解説
2006年版労働経済白書を読む(1)-拡大する非正規雇用
2006年版労働経済白書を読む(2)-製造業の請負労働
2006年版労働経済白書を読む(4)-日本型雇用システム
2006年版労働経済白書を読む(5)-労働政策の課題

2006年版経済財政白書を読む(1)~(5)
2006年度・2007年度若年者雇用対策(最新の情報・資料が豊富です)

経済財政運営の中期方針(2007年~2011年)解説
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(1)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(2)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(3)


参考エントリー
日本版デュアルシステム(EU労働法政策雑記帳)
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Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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