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2006年版労働経済白書を読む(2)-製造業の請負労働
「第2章 就業形態の多様化とその背景」を製造業の請負労働を中心にまとめました。
グローバル化を背景とした国際的な経済競争の強まりによって、製造業の生産性向上とコスト削減が求められている。正規雇用を中心に専門的・技術的職業が増加している一方、コスト削減による非正規雇用比率は増加しており、雇用の柔軟化が進んでいる。こうした中で、非正規雇用に就く若年層が増加しているが、将来的にみたキャリア形成への影響が懸念される。
製造業の請負事業の適正化及び雇用管理の改善に関しては、2006年10月厚生労働省職業安定局に検討会が設置されました。


第2章 就業形態の多様化とその背景

第1節 経済社会の変化
1.製造業の非正規雇用者の増加
就業形態の多様化の動きを産業ごとにみると、1980年代以降、卸売・小売業、飲食店、サービス業など第3次産業の分野で進展してきた。
これに対し、製造業では、1990年代までは、非正規雇用比率の高まりはみられなかったが、2000年以降は、その割合が上昇している。今後の比率が増加する見込みと回答した割合も、1,000人以上の製造業で高く、約3割となっており、他の規模、産業と比べて高い値を示している。また、生産工程に、請負労働者、派遣労働者として従事する労働者も増加している。
最新資料
※派遣労働者の受入れ企業数割合は36.7%で、前回(平成10年調査20.3%)に比べ16.4ポイント上昇した。企業規模別にみると、300~999人規模が65.4%、次いで1,000人以上規模が64.4%と6割を超えている。
派遣労働者受入れ企業の常用労働者に対する派遣労働者数割合は12.4%で、前回(同5.8%)に比べ6.6ポイント上昇した。
派遣労働者受け入れ企業の割合(平成18年就労条件総合調査結果の概況)

派遣労働(偽装請負含む)に関しては、労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会で議論しています。会議で配布された資料等が公開されましたら、随時追記していきます。
参考資料 
労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)配布資料(2006年12月)
これまでのフォローアップと更なる検討が必要な事項PDF
労働者派遣事業制度に関する今後の議論の進め方についてPDF
労働政策審議会(厚生労働大臣の諮問機関)配布資料(2006年9月、10月)
派遣関係資料1  派遣関係資料2  派遣関係資料3
派遣労働の実態
平成18年9月4日通達
偽装請負に対する当面の取組について

2.コスト抑制と柔軟な生産体制
グローバル化を背景とした国際的な経済競争が、今までにない強まりを見せているが、1990年代の我が国製造業は、国際的にみて低い労働生産性の向上しか達成できず、雇用を生み出す力をかなり落としていた。しかし、今回の景気回復局面においては、国際競争力をとりもどしつつあり、賃金コストも国際的な水準からみて低下するとともに、2005年秋以降は、製造業雇用者も増加に転じている。こうした、製造業の復調の背景には、技術革新を活かした付加価値生産性の伸びの上昇もあるが、非正規雇用を活用し、コストを抑制するとともに柔軟な生産体制を構築したことも大きく貢献したものと考えられる。

第2節 勤労者意識の変化と働き方
1.多様で柔軟な就業機会
就業形態の多様化は、勤労者の意識変化に応えつつ、労働力を供給しやすい柔軟な形態として広がっている側面も強い。体力や就業動機など個人差が大きくなる高齢者や、仕事と家庭の両立が困難であるなどの事情を抱える女性については、個々の事情に見合った働き方として非正規雇用での就業を選択する者が多い。
労働力供給が制約される我が国社会では、高年齢層や女性の就業希望に応えて多様で柔軟な就業機会を創造し就業率を高めていくことが不可欠であり、そのためには、就業形態間の均衡処遇などを通じて、どの働き方を選んでも意欲をもって働けることが大切である。公正な処遇が確保され、誰もが安心して働くことができる労働環境の整備に取組む中で、今後も就業形態の多様化が進展していくものと見込まれる。

2.若年者の職業的自立
一方、若年層では採用抑制が厳しかったことから、1990年代半ば以降、非正規雇用割合が急速に上昇し、不本意な選択として非正規雇用で就職せざるをえなかったとする者が多くなっているが、若年者の求職態度にも問題があったと考えられる。職業選択の場面での働き方の自己決定の重要性が増してきていることから、若年者が職業的自立に向けて不足している知識を補いしっかりとした職業意識を形成するためにはキャリア教育の必要性がある。

第3節 企業行動の変化と就業形態
1.人材マネジメントの強化
企業は就業形態の多様化を経営戦略の中に積極的に取り込んでおり、コスト削減ばかりではなく、柔軟な生産体制の実現、迅速な対応力、リスク管理など経営上の諸目標を達成するための人材マネジメントを強化している。近年の、我が国製造業の国際競争力の回復の背景には、こうした人材マネジメントに基づいた非正規雇用の活用があると考えられる。
製造業での近年の非正規雇用の特徴をみると、生産工程における請負労働者、派遣労働者の活用があり、特に、機械関連の製造業での活用が多い。製品のライフサイクルが短くなり、生産変動の見通しがつきにくくなる中で、そのリスクを低減させ管理するために、生産過程の一部の工程を請負事業者などに任せる動きが広がっているが、こうしたリスク回避的な行動が、単なる請負労働者への単なるリスクの押しつけにならないようにしていくことが求められる。

2.若年の請負労働者
生産工程で働く請負労働者は若年者が多いが、その賃金は現状では、年齢が上がっても、勤続を重ねてもほとんど上がらず、労働者自身も将来に向けキャリアを高めていこうとする意識が乏しいなどの問題がある。わが国の製造業の競争力維持にとって「ノウハウの蓄積・伝承が難しくなる」ことは懸念すべき点である。請負労働における社会・労働保険の適用や労働者の安全衛生などについては、雇用主である請負事業者のみならず、請負労働者を活用している事業所や行政も含め、関係者全体の協力により、より一層の適正化を進めていくことが求められる。

*製造業競争力の国際比較
製造業の労働生産性に焦点をあて、ILO“Key Indicators of the Labour Market”により国際比較してみると、日本の製造業の時間あたり実質労働生産性(1990年購買力平価)は、1980年にはアメリカ、ドイツ、フランスより低い水準となっていたが、2000年にはアメリカ、フランスよりは未だ低いものの、イギリス、ドイツ、韓国より高い水準となった。また、日本の労働生産性上昇率は1990年代前半には低い伸びに落ち込んだが、90年代後半にはその伸びが再び大きくなっている。(第2-(1)-21 表)。
また、我が国製造業の労働費用の水準を国際比較すると、2000年には他の主要国の中で最も高い水準となっていたが、2002年の数値では、イギリスやフランスとほぼ同じ水準となり、アメリカやドイツよりも低い。(第2-(1)-22 図)
第2章 就業形態の多様化とその背景P98


参考資料
平成18年版(2006年版)労働経済の分析(要約版)
平成18年版(2006年版) 労働経済の分析(本文版)

関連エントリー
大阪労働局が「偽装請負キャンペーン」の結果を発表
労働市場改革(労働ビッグバン)-労働者派遣法改正の方向

労働経済白書2006解説
2006年版労働経済白書を読む(1)-拡大する非正規雇用
2006年版労働経済白書を読む(3)-若年者の職業的自立支援
2006年版労働経済白書を読む(4)-日本型雇用システム
2006年版労働経済白書を読む(5)-労働政策の課題

経済財政白書2006解説(1)~(5)

経済財政運営の中期方針(2007年~2011年)解説
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(1)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(2)
日本経済の進路と戦略 ~新たな「創造と成長」への道筋~(3)
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Author:赤澤 波
社会保険労務士・Wikipedia年金分野編集者 
社会保障の理念は変動する社会の中で国民のセーフティネットを確立すること。
自由主義の社会福祉国家の社会保障政策を考えます。
詳細プロフィール(http://d.hatena.ne.jp/nami-a/about)

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